この記事のまとめ
- Return to Play は、ケガの前後で最高速度と最大加速度を比べ、復帰の目安を百分率(100% が競技に戻れる時点)で示す指標です(2023 年 6 月当時の OLIVER の指標)。
- 本部のブログは、ケガ前の値の 90% に届かないまま試合に出ると、ケガのリスクが高まるという専門家の見方を紹介しています。
- 復帰の判断は、この数値だけで決めません。医師などの専門家と相談したうえで、判断材料の 1 つとして使います。
ケガから戻ってきた選手を、いつ試合に出すか。早く戻したい気持ちと、もう一度ケガをさせたくない気持ちの間で、迷うフィジカルコーチや指導者は少なくありません。本人の「大丈夫です」や見た目の印象だけで決めると、あとから不安が残ります。数値で見られる物差しがあれば、本人や周りのスタッフとも話し合いやすくなります。
この記事では、OLIVER SPORTS 本部のブログをもとに、ケガ後の復帰を考えるときの指標「Return to Play(リターン・トゥ・プレー)」をまとめます。なお、この記事で「OLIVER」と書くのは 2023 年 6 月当時の製品名です(チーム向けは現在の OLIVER PRO)。
Return to Play とは
Return to Play は、「Return to compete」とも呼ばれる指標です。本部のブログによると、主に筋肉のケガの再発リスクを見ながら、選手がケガのあとに競技へ戻れる時期を探るために使います。
数値は百分率(%)で表し、100% が「競技に戻れる」目安の時点です。GPS で負荷を丁寧に計測していくと、フィジカルコーチは選手の状態を数値で追えます。復帰が早すぎないかを確かめる手がかりになる、というのが本部の説明です。
本部のブログは、統計上、女性選手のほうがケガをしやすい傾向があり、選手の計測に GPS を取り入れる女子チームが増えていると書いています(関連:女子サッカーの見えにくいケガ|心の負担と、負荷データの活用の考え方)。
数値のもとになる 2 つの値
割合は、ケガをする前に出した最高速度と最大加速度を、ケガのあとの同じ値と比べて求めます。本部のブログは、ケガ前の値の 90% に届かないまま試合に出ると、ケガのリスクが大きく高まるという専門家の見方を紹介しています。どの研究による見方かは、元の記事に書かれていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位 | 百分率(%) |
| 比べる値 | ケガ前とケガ後の、最高速度と最大加速度 |
| 100% | 競技に戻れる目安の時点 |
| 90% の見方 | ケガ前の 90% に届かないまま出場すると、ケガのリスクが高まるとされる水準(専門家の見方) |
ここでの数値は、復帰の可否を決める診断ではなく、状態を見る手がかりです。本部のブログは、比べる相手をケガ前の値としています。
この指標の 2 つの利点
本部のブログは、利点を次の 2 つに整理しています。
- 復帰時期の見極め:選手に無理をさせず、安全とされる時期より前に復帰させないための判断材料になります
- クラブの資源の管理:選手がケガをすると、治療の費用と、戦力の一時的な不在が生じます。本部は、その損失を抑える観点で GPS を使う意義があると説明しています
負荷の計測とあわせて見る
当時の本部のブログによると、OLIVER にはこの指標のほかにも、ケガの状況を管理するためのケガ用ダッシュボード(injury dashboard)がありました。ケガのリスクの手がかりを見る「ケガのプロファイル」も使えると紹介されています。
OLIVER は、負荷をかけすぎている選手と、もっと負荷が必要な選手を見つける助けになるシステムです。
(当時 Sport Extremadura Femenino のフィジカルコーチだった José María Pinilla 氏)
負荷の計測も大切な役割を持ちます。本部のブログは、外的負荷(走った距離や速度など、体の外に出る負荷)と、内的負荷(RPE、つまり選手が感じる運動のきつさ)の両方を計測することが、ケガの状況を管理するうえで役立つとしています。
本部のブログは、Sport Extremadura を、OLIVER で負荷を計測していたクラブの 1 つとして紹介しています。
OLIVER は、25 か国・100 以上のチームで使われていました(2023 年 6 月 12 日時点)。男子と女子のサッカー、フットサル、ユースのチームが、短期から長期までの目標のために選んでいると、本部は紹介しています。
使うときの考え方
- 数値だけで復帰を決めず、医師や理学療法士などの専門家と相談する
- 比べる基準は、本部のブログが示すケガ前の本人の数値
- 最高速度と最大加速度のほかに、負荷の推移や本人の感じるきつさもあわせて見る
日本の現場では
大会の日程が決まっている中で、いつ復帰させるかを迫られる場面があります。部活動の県大会の直前や、リーグ戦の連戦、進学や選考会を控えた選手のケースでは、本人も保護者も気持ちが先に進みがちです。そこで、ケガの前後の数値を並べて見せられると、医師やトレーナーの判断とあわせて、指導者と本人・保護者が落ち着いて話し合う材料になります。この記事の Return to Play は当時の OLIVER の指標なので、今の OLIVER PRO での扱いはデモのご依頼の際にお尋ねください。
出典
- この記事の原文:OLIVER SPORTS 本部のブログ「“Return to Play”: The Key Metric for Physical Trainers」(英語、2023 年 6 月 12 日)
- 「女子サッカーの見えにくいケガ|心の負担と、負荷データの活用の考え方」(日本語版、2023 年 1 月 17 日)
参考:原文(英語)
この記事について本記事は、OLIVER SPORTS 本部の公式ブログに 2023 年 6 月 12 日に掲載された記事「“Return to Play”: The Key Metric for Physical Trainers」の日本語版です。日本の読者向けに、OLIVER SPORTS JAPAN が要点をまとめ直し、「日本の現場では」の欄を書き足しています。記事の中の数値や製品の内容は、元の記事が掲載された時点のものです。この日本語版は 2026 年 11 月に掲載しました。日本で提供する内容や価格は、記事の内容と異なる場合があります。機能によっては、ご契約の内容で使える範囲が異なります。国内での導入と運用のサポートは、OLIVER SPORTS JAPAN が行います。掲載している画像・ロゴは OLIVER SPORTS 本部の許諾を得て使用しており、権利は OLIVER SPORTS 本部または各権利者に帰属します。OLIVER SPORTS JAPAN は、STC 株式会社が運営する日本の総代理店です。



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