この記事のまとめ
- EPTS(Electronic Performance and Tracking Systems)は、選手の位置や速度などを電子的に計測するシステムの総称です。
- FIFA の品質プログラムは、選手が身につけるウェアラブル型と、会場側の装置で計測する光学型の 2 つを対象にしています。
- 選ぶときは、計測する指標・安全性・精度の資料・使う場所・運用の 5 つが観点になります。
「走行距離」「最高速度」「スプリントの回数」。試合や練習のあとに、こうした数値を目にする機会があります。けれども、その数値がどんな仕組みで、どれくらい確かなものなのかは、見えにくい面があります。
この記事では、サッカーで使われる EPTS の仕組みを、FIFA の公式ページで確かめた内容をもとに整理し、導入を考えるときの観点をまとめます。2023 年に OLIVER SPORTS JAPAN が掲載した記事を、2026 年 11 月に書き直しました。
EPTS とは
EPTS は、Electronic Performance and Tracking Systems の略です。サッカーでは、練習や試合での選手の位置や動き、速度といったデータを電子的に計測するシステムを指して使われます。FIFA は、サッカーで使われる EPTS について、品質を確かめるための試験プログラム(FIFA Quality Programme for EPTS)を運営しています。
指導の現場で見る数値は、多くの場合、このような計測システムから出ています。距離や速度の数値は、計測の方式と精度によって、見え方が変わります。そのため、数値を読む側も、仕組みの基本を知っておくと役に立ちます。
計測の 2 つの方式
FIFA のプログラムは、ウェアラブル型と光学型の両方を対象にしています。
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| ウェアラブル型 | 選手が身につけるデバイスで計測。ベストに入れる型や、脚に付ける型がある |
| 光学型 | 選手が身につけず、会場側の装置で計測 |
練習の場所が日によって変わるチームは、会場の設備に頼らず選手が身につけて使えるかどうかも、選ぶときの観点になります。
FIFA の品質プログラム
FIFA の公式ページ(2026 年 11 月に確認)によると、このプログラムは 2017 年に、ウェアラブル型が選手にとって危険とならないことを確かめる安全性のプログラムとして始まりました。2019 年には、安全性の試験に加えて、光学型とウェアラブル型の性能試験が導入されました。試験は「FIFA Basic」(旧称 International Match Standard)と「FIFA Quality」の 2 つの基準から選んで受けられます。性能試験に合格したシステムには、「FIFA Quality」のマークが与えられます。
試験を受けた提供者はウェブサイトに掲載され、位置と速度のデータの精度を速度帯ごとに順位づけした試験報告書も公開されています。報告書を見るときは、どの速度帯の数値なのかをあわせて確かめます。また、2023 年以降は、IFAB の承認を受けて、下肢(脚)に付けるウェアラブル型も、FIFA Innovation Programme での追加の検証に合格すれば、このプログラムで承認される可能性があるとされています。
この仕組みから分かるのは、数値の精度について、第三者の試験の結果を確かめられる場合があるということです。一方で、マークの有無だけで、練習の目的に合うかどうかまでは決まりません。
選び方の 5 つの観点
| 観点 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 計測する指標 | 距離・速度・加速と減速など、見たい指標が含まれるか |
| 安全性 | 選手が身につけて動いても問題ないと確かめられているか |
| 精度の資料 | 試験の方法と結果を、資料で確かめられるか |
| 使う場所 | 屋外・屋内、練習場所の変化に対応できるか |
| 運用 | 配る・充電する・結果を見る作業を、スタッフの人数で続けられるか |
ウェアラブル型の OLIVER PRO
OLIVER SPORTS 本部のブログ(2024 年 10 月 2 日)によると、OLIVER PRO は、GPS を使って練習や試合での選手の動きを計測し、そのデータを AI を取り入れたプラットフォームで指導者・アナリスト・選手が見られるようにしたチーム向けの製品です(出典 3)。本部のブログ(2024 年 6 月 19 日)は、計測のデバイスを脚またはベストに付けると紹介しています(出典 4)。
日本の現場では
自治体のグラウンドを時間を区切って借りて練習するクラブでは、会場に計測の装置を据え付けにくいことがあります。そうしたクラブは、光学型かウェアラブル型かを、まず「どこで計測するか」から考えると、この記事の 5 つの観点も絞りやすくなります。OLIVER PRO の画面にどの指標が並ぶかは、デモのご依頼の際に、今の画面でご案内します。
出典
- FIFA「Electronic Performance and Tracking Systems (EPTS)」(2026 年 11 月に閲覧)
- FIFA「FIFA Quality Programme for EPTS」(2026 年 11 月に閲覧)
- 「OLIVER PRO のプラットフォーム|GPS と AI で見るチームのデータ」(日本語版、2024 年 10 月 2 日)
参考:原文(英語) - 「サッカーのビッグデータの歴史|基本の記録から活用の広がりまで」(日本語版、2024 年 6 月 19 日)
参考:原文(英語)
この記事について本記事は、OLIVER SPORTS JAPAN が 2023 年 9 月 6 日に掲載した記事を、2026 年 11 月に書き直したものです。記事の内容は書き直した時点のもので、出典に挙げた記事の数値は、それぞれの記事の時点のものです。掲載している画像・ロゴは OLIVER SPORTS 本部の許諾を得て使用しており、権利は OLIVER SPORTS 本部または各権利者に帰属します。OLIVER SPORTS JAPAN は、STC 株式会社が運営する OLIVER SPORTS の日本の総代理店です。

