女子サッカーの過去と未来|禁止の時代から、女子向けの GPS が届くまで

女子サッカーの過去と現在を表したビジュアル 指導の知識

この記事のまとめ

  • 女子サッカーは、1894 年にロンドンで最初のクラブができてから約 100 年、禁止と差別の影に置かれ、1991 年の FIFA 女子ワールドカップで公式に認められて、急速に広がりました。
  • 計測の技術でも、女子チームへの GPS の広がりは男子より遅れたと、本部のブログは述べています。
  • 2022 年当時の OLIVER(チーム向けは現在の OLIVER PRO)は脚に着ける形で、女子サッカーを想定したしきい値を設計していたと、本部のブログは説明しています。

女子チームを預かる指導者が、データを使いたいと考えたとき、最初にぶつかるのは「選手に合う道具があるか」という問題かもしれません。女子の競技が長く禁じられ、環境づくりが遅れてきた分、技術の面でも男子の仕組みを借りてきた場面が少なくありませんでした。

この記事では、OLIVER SPORTS 本部のブログ(2022 年 7 月 8 日)をもとに、女子サッカーの歩みと、計測技術が女子チームに届くまでの経緯をまとめます。

地下に追いやられた始まり

本部のブログによると、世界で最初の女子サッカークラブは、1894 年に活動家のネッティ・ハニーボールがロンドンで立ち上げたブリティッシュ・レディーズ・フットボール・クラブです。開設して間もなく、クラブは英国政府によって閉鎖され、女子サッカーそのものが禁止された、と本部のブログは述べています(歴史の細部は本部のブログの記述です)。

こうした状況はロンドンに限らず、ヨーロッパの多くの都市や世界各地で起きていました。およそ 100 年のあいだ、女子サッカーは差別と非合法の影の中にあり、クラブも選手も育ちにくい状態が続きました。観客もテレビ中継も、クラブも公式の大会も、まだ遠い先の話でした。

FIFA の遅れた支援と、その後の広がり

1991 年、非公式な「ワールドカップ」や UEFA の主催する大会をいくつか経て、FIFA は中国で最初の女子ワールドカップを開きました。優勝はアメリカ代表でしたが、本部のブログは、本当の成果は FIFA 自身が女子サッカーを公式に認めたことだと述べています。男子の大会から 61 年後のことでした。

その 5 年後の 1996 年には、国際オリンピック委員会がアトランタ大会で女子サッカーを正式種目に加えました。これらの出来事を受けて、多くのクラブが女子チームをつくり、女子専用のクラブも生まれました。スポンサーが付き、観客も選手の数も増え、女子サッカーは新聞やテレビの紙面・画面に載るようになっていきます。

本部のブログは、広がりの例として次の 2 つを挙げています。

  • 2019 年、アトレティコ・マドリードと FC バルセロナの女子チームの試合に、ワンダ・メトロポリターノで 6 万人が集まった
  • 同じ年の 3 月、スペインのリーガ・イベルドローラと Mediapro のあいだで、初のテレビ放映契約が結ばれた

一方で、本部のブログは、まだ平等とは言えない面も指摘しています。わかりやすいのは報酬で、男子のスター選手が受け取る額には遠く及びません。もう 1 つは、競技に取り組む環境の専門性(プロフェッショナリズム)の差で、男子のほうが、はるかに多くの資源を使えるためだとしています。

技術にも同じ差があった

本部のブログは、技術の面でも男子と女子のあいだに同じ差があったとして、自社の立場から GPS を例に挙げています。数年前から使われてきたベスト型の GPS は、まず男子サッカーに導入されました。本部のブログは、女子チームに GPS が広がりにくかった理由として、選手の体に合わせた設計、着け心地、導入の費用の面を挙げています。

本部のブログによると、2018 年の終わりに、性別の視点も取り入れて設計したとする OLIVER が登場しました。

当時の OLIVER:着け心地と、女子サッカーを前提にした設計

この記事が書かれた 2022 年は、チーム向けの OLIVER PRO の発表(2023 年 12 月 19 日)より前です。ここでの「OLIVER」は、当時の製品名です(チーム向けは現在の OLIVER PRO)。以下は当時の本部のブログによる説明で、今の製品の機能と同じとは限りません。

CFF Olympia の選手と OLIVER のデバイス
CFF Olympia と当時の OLIVER
  • 着け心地:デバイスを脚に着ける形で、着け心地に配慮しているとされていました
  • ソフトウェアの設計:アルゴリズムのしきい値が、女子サッカーを想定して設計されていたとされます

本部のブログによると、2022 年 7 月 8 日時点で、OLIVER はスペインの CFF Olympia de Madrid(詳しくは「CFF Olympia の導入事例(2022 年)|女子クラブが GPS で上位を目指す」)や Racing Féminas など複数のチームで使われ、大西洋の反対側ではウルグアイの名門ナシオナルでも使われています。

女子チームがデータを使うときの見方

ここからは、日本語版で加えた整理です。

  • デバイスが合うか:着け心地は、選手が毎回きちんと着けるかどうかに関わります。まずは選手本人に着けてもらい、動きにくさがないかを確かめる進め方が考えられます
  • 基準が合うか:しきい値や基準が、どの選手を想定して作られているかは、数値を読む前に確認したい点です
  • 比べる相手を決める:他チームや男子の数値ではなく、まずは自分のチームの過去の数値と比べることが、判断の材料になります

日本の現場では

女子のチームを預かる指導者が、データを取り入れたいと考えたとき、女子の部活動やクラブでは、まず 4 月の新年度に新しく入った選手にデバイスを着けてもらい、着け心地を確かめる進め方が考えられます。見る指標は数個に絞り、同じ条件で数週間そろえて計測すると、選手ごとの変化を見る手がかりになります。現在の OLIVER PRO を女子チームでどう使うかは、デモのご依頼からご相談ください。

出典

  1. この記事の原文:OLIVER SPORTS 本部のブログ「Women’s football, What was it like in the past and what will it be like in the future?」(英語、2022 年 7 月 8 日)
  2. 「CFF Olympia の導入事例(2022 年)|女子クラブが GPS で上位を目指す」(日本語版、2022 年 6 月 30 日)
    参考:原文(英語)
  3. Racing Féminas での使用を紹介した動画(YouTube)
  4. ナシオナル(ウルグアイ)の試合後分析の記事(クラブの公式ページ)

この記事について本記事は、OLIVER SPORTS 本部の公式ブログに 2022 年 7 月 8 日に掲載された記事「Women’s football, What was it like in the past and what will it be like in the future?」の日本語版です。日本の読者向けに、OLIVER SPORTS JAPAN が要点をまとめ直し、「日本の現場では」の欄を書き足しています。記事の中の数値や製品の内容は、元の記事が掲載された時点のものです。この日本語版は 2026 年 11 月に掲載しました。日本で提供する内容や価格は、記事の内容と異なる場合があります。機能によっては、ご契約の内容で使える範囲が異なります。国内での導入と運用のサポートは、OLIVER SPORTS JAPAN が行います。掲載している画像・ロゴは OLIVER SPORTS 本部の許諾を得て使用しており、権利は OLIVER SPORTS 本部または各権利者に帰属します。OLIVER SPORTS JAPAN は、STC 株式会社が運営する日本の総代理店です。

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