ユース世代はどこへ向かう(2022 年)|育成年代のデジタル化と GPS の動向

育成組織のデジタル化プロジェクト Cantera Digital のイメージ 指導の知識

この記事のまとめ

  • 2022 年当時、スペインでは育成組織への投資が広がり、クラブの運営やトレーニングにもテクノロジーが入り始めていました。
  • 本部のブログは、育成年代で使われていた技術の例として、クラブ運営のソフト、AI による映像分析、GPS の 3 つを挙げています。
  • OLIVER SPORTS 本部は当時、育成組織のデジタル化プロジェクト「Cantera Digital」で GPS の導入を進めていました。

ユース年代の選手は増え続けているのに、プロになれるのはごくわずか。それでも各クラブは、育成の環境づくりに力を入れ始めていました。指導者としては、自分たちのアカデミーがこの流れの中でどこに立っているのか、気になるところです。

この記事では、OLIVER SPORTS 本部のブログ(2022 年 9 月 29 日)をもとに、当時のスペインの育成年代の動きと、そこで使われていたテクノロジーをまとめます。なお、記事の中の「OLIVER」は当時の製品名です(チーム向けは現在の OLIVER PRO)。

育成組織が、クラブの土台になりつつあった

本部のブログによると、多くのクラブではトップチームの予算が育成組織よりずっと大きい一方で、育成に投資するクラブが増えていました。育った選手がトップの舞台に立てれば、クラブとして持続しやすくなるからです。

選手の側も、育つクラブに質の高い設備や計画があるかを重視するようになってきた、と本部は書いています。次の数値は、スペインの育成年代を知る目安として紹介されたものです。

項目本部のブログが紹介した数値
スペインのユース選手の数2022 年時点で過去 20 年で 2 倍。2017 年にはすでに登録選手が 50 万人超
スペインの 1 部でデビューできる選手約 2,600 人に 1 人

UEFA が進める「Grassroots Charter」

UEFA は「Grassroots Charter」というプログラムで、加盟する 55 の協会(2022 年 9 月 29 日時点)と育成年代の取り組みを見直しています。各協会の取り組みを評価し、表彰するための仕組みです。女子サッカーの広がりや、障がいのある人のサッカーを含む社会的なプログラムも対象になっています。

2022 年には、アスレティック・ビルバオが「Aterpe」プログラムで、育成に取り組むプロクラブの賞に選ばれました。UEFA はテクノロジーも、プロと育成年代の双方にとって大切な柱の一つと位置づけている、と本部は紹介しています。

育成年代で使われていた 3 つのテクノロジー

ここ数年で、クラブ運営のソフト、GPS、映像分析が育成年代のトレーニングを変えてきた、というのが本部の見方です。次の表は、ブログが挙げた例です。

種類例内容
クラブ運営のソフトLaLiga Academy Manager育成組織やサッカースクールの運営を支えるソフト
映像分析PixellotAI を使った映像分析の技術
GPSOLIVER脚に着けて計測する GPS の技術

LaLiga の当時のスポーツプロジェクト部門の責任者、Juan Florit 氏は、LaLiga Academy Manager について、クラブや育成組織、サッカースクールがプロチームと同じやり方でチームを育成・運営できるようにするもので、LaLiga の経験とノウハウを提供する、と述べています。

Cantera Digital:GPS で育成組織をデジタル化する

本部は当時、「Cantera Digital」という取り組みを始めていました。GPS を使ってクラブの育成組織をデジタル化し、選手についての情報を増やして、組織全体の意思決定に生かすプロジェクトです。目的は、パフォーマンスの向上と、ケガのリスクの管理でした。

本部のブログによると、当時の OLIVER は次のようなところで使われていました。

創業者で、当時 CEO だった José González Ruzo 氏は、OLIVER の特徴を次のように説明しています。ベストではなくハーフサイズのレガース(すね当て)の中に入れる形にして、選手の着け心地を考えたハードウェアにした、という内容です。

同じく脚に着ける形の別の製品として、本部はスペインの Humanox を挙げています。オサスナの育成プログラム「Cantera Salud」で使われていたとのことです。

テクノロジーは、将来の選手の道具でもある

将来を期待される選手にテクノロジーを使わないクラブは、ほとんどない、と本部は述べています。選手が、将来使う道具に早くから触れておくためです。GPS は指導者が負荷を管理する助けになる、と本部は述べています。ケガは多くの選手のキャリアに思わぬブレーキをかけることがある、とも書いています。

本部のブログは最後に、テクノロジーがクラブの将来を分けるのか、それともどのクラブも同じ土俵に立てるようにするのか、という問いを読者に投げかけて終わっています。育成年代の GPS の考え方は、育成年代の GPS 導入事例(2023 年)|当時の OLIVER を取り入れたクラブでも紹介しています。

日本の現場では

日本の育成年代は、中学・高校の部活動と、クラブの育成組織が並んで存在しています。同じ選手が学校とクラブの両方で練習することもあり、負荷を一つの計測の数値で見られる仕組みがあると、本人と保護者の同意を得たうえで、指導者の間で状況を共有しやすくなります。4 月に新入生を迎える時期は、選手の体の状態を確かめ直すよい機会です。育成組織でのデータの使い方は、デモのご依頼からご相談ください。

出典

  1. この記事の原文:OLIVER SPORTS 本部のブログ「Where is youth football heading?」(英語、2022 年 9 月 29 日)
  2. 「育成年代の GPS 導入事例(2023 年)|当時の OLIVER を取り入れたクラブ」(日本語版、2023 年 6 月 21 日)
    参考:原文(英語)
  3. 「レアル・マドリード財団のキャンプで GPS 計測|育成年代 1,700 人以上のデータ」(日本語版、2022 年 9 月 12 日)
    参考:原文(英語)
  4. 「Sport Extremadura と WISE|GPS 導入事例(2022 年)」(日本語版、2022 年 9 月 22 日)
    参考:原文(英語)
  5. 「MIC Football と OLIVER の提携(2022 年)|800 人超が計測」(日本語版、2022 年 5 月 3 日)
    参考:原文(英語)
  6. LaLiga Academy Manager(LaLiga Grassroots)
  7. Pixellot(公式サイト)

この記事について本記事は、OLIVER SPORTS 本部の公式ブログに 2022 年 9 月 29 日に掲載された記事「Where is youth football heading?」の日本語版です。日本の読者向けに、OLIVER SPORTS JAPAN が要点をまとめ直し、「日本の現場では」の欄を書き足しています。記事の中の数値や製品の内容は、元の記事が掲載された時点のものです。この日本語版は 2026 年 11 月に掲載しました。日本で提供する内容や価格は、記事の内容と異なる場合があります。機能によっては、ご契約の内容で使える範囲が異なります。国内での導入と運用のサポートは、OLIVER SPORTS JAPAN が行います。掲載している画像・ロゴは OLIVER SPORTS 本部の許諾を得て使用しており、権利は OLIVER SPORTS 本部または各権利者に帰属します。OLIVER SPORTS JAPAN は、STC 株式会社が運営する日本の総代理店です。

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